イジワル上司の甘い求愛

◇◇◇

6年前、入社した時には、まさかあの『太郎さん』が、初恋の相手が、直属の先輩だなんて本当に驚いた。

これはきっと運命に違いない。


社内でも有名なイケメンで、後輩の面倒見も良い浦島さんにもう一度想いを寄せるまでそんなに時間はかからなかったんだった。


気持ちは募るばかりだというのに、高校の頃のように勢いだけで告白が出来なくなったのは私が大人になっただけなんかじゃない。


同じ会社の、同じ部署、しかも地元まで一緒。

振られた時のことを考えると、二の足を踏んでしまっていた。

『ごめん。チャキはそんなんじゃないから』

告白のことを考える時には必ず、卒業の時に振られた言葉が胸の奥底から蘇ってきたんだっけ。

今はもう、あの頃の気持ちでさえ、私の中では『黒歴史』になってしまったというのに。

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