イジワル上司の甘い求愛
今から4年前。

入社して2年が経とうとしていた頃、つまり私が浦島さんを想いを寄せて2年が経とうと
していた年の瀬の押し迫ったある日のこと。


「有瀬さん。二次会行くだろ?」

『チャキ』なんて高校の頃のニックネームで呼ぶことなんてなくなった浦島さんが、同じテーブルに居た私にそっと耳打ちした。


「もちろんです」

私達が勤める会社の創立20年をお祝いするパーティー。
ホテルの宴会場で行われていた立食パーティーはゲストも多く出席していて大盛況。

私の所属する企画部は、パーティーの後二次会を開催しようと予定していた。

ふいの耳打ちに一気に胸が高鳴って、大きく頷きながら返事をしたんだっけ。


「じゃあ、終わったらエントランス集合な」

白い歯を見せて笑った浦島さんに、もう一度首を縦に振って返した。

「また、あとで」

私の反応に満足そうな表情を浮かべて、社長のスピーチが行われているステージの方へと浦島さんは歩いて行った。

歩く姿も素敵だなぁ

浦島さんの後ろ姿を、今となってはそんな呑気なことを考えながら見惚れていたんだった。

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