イジワル上司の甘い求愛
私の視界に入ってきた光景。
それは、さっき私に白い歯を見せて笑いかけてくれた浦島さんが、見るからに高級なドレスを身にまとった美女と熱烈なキスをしているところだった。
世界が色のないモノクロの世界になった気がした。
周りの空気が、冷たく感じた。
周囲の音が何も聞こえなくなった気がした。
「あれ、玲美さんでしょ?社長の娘。相手は……」
「浦島さん。企画部の私の先輩……」
関西支部で営業部に所属している同期が私の耳元で教えてくれる。
社長の娘の玲美さん。
なんとなく噂では聞いたことがあった。
高校から海外で生活している自由奔放な社長の一人娘。
コワモテの社長とは似ても似つかない、細身で長身のモデル体型の美女。
ステージ上の玲美さんは艶々のロングヘアにスリムな体型を引き立てるスレンダーラインのグリーンのドレス。
年齢は今年二十歳を迎えたはずの大学生なのに、私なんかとは比べ物にならない位に随分と大人っぽくって色気がある。