イジワル上司の甘い求愛
「そういえば、太郎も東京で働いてるんだったよな?チャキ、覚えてる?ほら、俺たちの代でピッチャーしていた……」
覚えているに決まってる。
だって私、『太郎さん』と同じ会社で働いているんだから。
さっきから胸がひりついて仕方ない。
曖昧な笑顔で小さく頷くと、星川先輩はガハハと大きな口を開けて笑う。
「やっぱりなぁ。あいつは高校の頃からイケメンで人気だったもんな。女子が覚えていないわけないよな」
「あっ、噂をすれば……」
星川先輩の話を遮るように、隣の小柄な先輩が会場の入り口の方に視線を向ける。
「太郎!!こっち、こっち」
八重歯が印象的なもう一人の先輩が、大きな声で手招きをする。