イジワル上司の甘い求愛


見覚えのある三つ揃いのストライプのスーツに身を包んだ、長身の男性。
整えられた髪型に、シャンと背筋の伸びた佇まい。

出入り口からは離れているというのに、遠目で、しかも一瞬にしてそれが誰か分かってしまう。

どうして、ここに?

会社の冬休みは明日から。
今日は仕事納めで、管理職はこぞって今夜が忘年会だって、企画部の部長がこの間、瞳をキラキラさせてみんなに教えてくれた。


特需販売授業部の部長である浦島さんだって、忘年会のはず。
しかも社長の一人娘の婚約者である浦島さんは欠席なんてしないだろうって思っていたのに。

どうして浦島さんが、忘年会じゃなくって都内から移動するのに3時間ほどかかる地元の恩師の還暦パーティーに居るんだろう?


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