イジワル上司の甘い求愛
「おみくじが大吉だったから何かいいことあるかな、なんて思ってました」
「願い事も叶うって書いてあったもんな」
「ハイ、縁談だってめでたく運ぶって書いてありましたし」
「……縁談するのか?」
探るような浦島さんの声色が明らかに低くって、ついさっきまで揺れていた浦島さんのブランコがいつの間にか止まっていることに気が付いて、ハッとした。
また、余計なこと口走っちゃった。
気付いた時には、もうどうやら遅いらしい。
「いっ、いや。私だって、ほら……結婚適齢期?ってやつですし、それに、うちの母からお見合い写真なんてもの見せられたりして……」
「仕事はどうするんだ?辞めるのか?」
「辞めるなんて、そんなわけないじゃないですか……ハハハ」
浦島さんは表情を強ばらせたまま、私の乾いた笑いだけが虚しく、寒空に消えていく。