イジワル上司の甘い求愛

「好きな女に仕事で認めてもらうまでは、恋愛はしないって決めていたんだ。正直、社内で社長令嬢と婚約しているって噂があるだけで寄ってくる女は一人もいなかったから助かった」

言葉を選びながらぽつりぽつりと話す浦島さん。

「指輪はしていたけれど、社長からの忖度なんて一切ない。付き合ってもいない玲美の婚約者と呼ばれ続けることでやっかみを受けることもあったけれど、それも全部自業自得だって受け止めて、自分の力だけで仕事で結果を残して認めさせようと思ってた」


「浦島さんが指輪外したってことは、認めてもらえたんですか?」

ふとした疑問を口にした私に浦島さんが首を傾げながら、苦笑いを浮かべる。

「どうだろうな。今の部署の部長に昇格したことは俺なりの結果だとは思ってる」

確かに、浦島さんは実力だけで今のポジションにのし上がったというのは浦島さんの努力の結果。

だけど、浦島さんが想っているというその女性は一体何を想っているのだろう。

< 209 / 255 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop