イジワル上司の甘い求愛
『あんなこと』
浦島さんの言っているフレーズが示していることなんてすぐに分かった。
あの夜、浦島さんと身体を重ねたあの日のことだ。
一晩だけの情事を思い出して、私まで顔中が熱くなって仕方ない。
「起きたら隣に居るはずのチャキはいなかった。軽い気持ちで抱いたわけじゃないことをずっと説明しないといけないって思ってたんだ」
ゆっくりと浦島さんを見つめると、浦島さんは真っすぐに私を視線を注いでいる。
「だって、そんな信じらない……」
真剣な眼差しは、きっと嘘なんかじゃないってことくらい分かっているはずなのに。
どうしてこういう時にまで可愛げのない私が出てきてしまうんだろう。