イジワル上司の甘い求愛

◇◇◇

がっつきすぎって思われてるかな、私?

そんなことを考えながら、エレベーターに乗る浦島さんの背中を見つめていた。



高校生の頃の私でもあるまいし、と思いながらも手を繋ぐことがこんなにもドキドキとするものなんだって思い知った気がした。

浦島さんが何度か連れて行ってくれたオーナーが私と浦島さんと同じ地元の出身というお店に到着するときには、繋がれた手も2人の体温がちょうど同じくらいの温度に溶けていた。

胸の高鳴りがなかなか収まらずに何度も食べた美味しいご飯も、小さく乾杯して飲んだビールだって、味なんてよく分からない。


「なに、緊張してんだよ?」

浦島さんの言葉や視線も意識しすぎて、ドギマギしていたら肩を揺らしながら浦島さんが笑う。

仕方ないじゃない。
だって、高校の頃憧れたあの『太郎さん』と付き合うことになったんだから。

そんなこと、意識したらなんだか思考まで高校生に戻った気さえしてきて、さっきから私本当にどうかしている。

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