イジワル上司の甘い求愛
結局その年末に私は一人で超満員の新幹線に乗り込み、地元へ帰省した。
浦島さんがその頃、どこで何しているかを気にしながら、新しい年を迎えたんだったっけ。
「あけましておめでと」
冬休みが明けて、出社するといつもと同じ爽やかな笑顔で浦島さんが自分の席で朝早くから仕事していた。
良かった、何も変わってない。
聞きたいことは山ほどある。
「あけましておめでとうございます。浦島さん!!」
嬉しくなって、足早に近づいた私は言葉に詰まってしまった。
変わっていないなんて思っていたのは大きな間違いだったみたいだ。
だって、浦島さんの左薬指にはキラキラと光るまだ新しい指輪が輝いていたんだから。