イジワル上司の甘い求愛


「すごいよね、浦島さん」

会社のそばの公園のベンチで梨沙とお弁当を食べていると、梨沙が感嘆の吐息を漏らしながら喋り始める。


新事業の特需販売事業部。

商品の設計、商品化はこれまで私たち企画部が全て担っていたけれど、この数年、既存の商品開発だけでなく、フルオーダーでの家具発注の依頼や商業施設やオフィスからの業務用家具の受注なんかも増えてきていた。

そこで、企画部は従来通り既存の商品開発中心の業務内容を行い、それ以外のオーダーのものは特需販売事業部が行うようになるってわけだ。

各部署から先鋭達が集められてチームを作り、特需販売は営業から販売、その後のフォローまでを特需販売事業部が一本化する。

梨沙の所属する営業部では、部長が異動になるらしい。

つまり浦島さんは、社内から集められた先鋭達のリーダーってことだ。

これが今朝の朝礼から梨沙とのランチまでに集めた情報。


梨沙の言葉が分からなくもない私は、静かに頷く。
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