イジワル上司の甘い求愛
◇◇◇

浦島さんの発言がアルコールのせいだなんてことはなかったことが分かったのは、それから数日経った週明けの月曜日の朝のことだった。


定例で行われる月曜日の朝会。
「会社もようやく多くの方々から認知されるブランドになりつつある。そこで、来月新しい部署を立ち上げる」


毎回行われる社長の挨拶がそろそろ終わりを迎えると思っていた時、コホンと1つ咳払いした社長が少しだけ緊張した笑顔ではっきりとそう言った。

ぼんやりと聞いていた私も驚きとともに、思わず背を正す。

「新事業は特需販売事業部。なお、事業部部長には企画部の浦島智也くんを任命する。詳細は社内メールで発表する。以上」


それまでシンとしていた社内が一気にざわつく。

それから、みんなの視線が浦島さんに集中して浦島さんが表情を引き締めて、小さく頭を下げると、どこからともなく拍手が沸き起こったのだった。


< 49 / 255 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop