この思い秘密です
「自分が歌うのならこんなポップな曲は書かなかったよ。ヴォーカルが凪だから
凪の音域や声を考慮して作ったんだけど思いの他良かったんだ」
淳平の言葉で思い出したが私が歌うんだった。すかっり忘れていた。
それが顔に出ていたようで
淳平の呆れ混じりのため息が聞こえた。
「お前完全に自分がヴォーカルだって忘れてたろ」
「はい・・すみません」
「で?感想は?」
「・・・凄くいい」
言葉に力が入る。
もっといい言葉があるならその言葉を使いたいが今の私の最大の褒め言葉が
凄くいいしかなかった。
「ごめん、もっといい表現ができればいいんだけど・・・でも本当に凄くいいよ!」
淳平の目尻が下がった。
「いいよ。ここのこの部分が・・とか細かく言われるのはあまり好きじゃない。
いい曲だとか凄くいいっていうのが素直に嬉しい」
淳平は少し照れくさそうに笑うと出来上がった曲をリピート再生した。
3回目ぐらいにもなるともうメロディーは頭に入っていた。
すると淳平は立ち上がるりスタジオの中に入っていった。
そしてギターを持つとガラス越しにこっちに来いと手招きした。
重いドアを開け中に入ると真ん中の椅子に座るようにと言われた。
「もうメロディーは頭の中に入ったと思うから一度歌ってみない?」
「ええ?」
「おいおい、もういちいちその反応やめろ。全く自覚ねーよな~」
「ある訳無いじゃん。私は淳平のー」
「マネージャーだろ?だけど今はメンバーだ。俺と対等でいてくれ。
気持もを入れ替えろ。お前はヴォーカルで俺たちはプロなんだから」
プロか・・・そう言われても実感もわかなければ淳平と比べたら
プロ初心者と言ったほうがいい。
だけどそんなことは・・・通用しない。