この思い秘密です

「凪!凪?・・・なぎーどこにいる?」

「こっち。キッチン」

淳平が興奮した様子で私の名を呼んだ。

「凪!」

キッチンに入ってきた淳平の顔は久しぶりの笑顔だった。

「できたんだ・・・曲」

「おう!出来たんだ!ちょっとスタジオにきてくれ」

淳平は私の手首を掴んだ。

でもちょうど調理中で手が離せない状態だった。

「待って!今夕飯作ってる最中なんだけど・・・これが出来上がったらじゃダメ?」

「ダメ!飯は後でいいし冷めても構わないから」

「・・・・はいはい」

私は仕方なく火を止めると淳平に引っ張られるかのようにスタジオへと向かった。



スタジオのコントロールルームに入ると淳平は出来上がったばかりのデモテープを私に聴かせた。

どんな感じのものになるのだろうかというのは正直考えてなかった。

ロック色の濃い作品が多かったのに今回のはかなりポップだった。

というよりもそこまでの余裕が全くなかった。

だけどスピーカーから流れてきた曲は今までの淳平とは明らかに違っていた。


メロディーは覚えやすく踊りたくなるようなノリの良さがあった。

夕飯を後回しにしてもいいぐらいの価値はあり手応えを感じた。

はっきり言って淳平がこんな曲を作れるとは思わなかった。

こんなポップな曲が書けるならなんで今まで書かなかったのかというのが

私の本音だった。
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