この思い秘密です
「キープする自信があるかって聞かれたら・・・はっきりハイと言えないかもしれません。
だけど自分で決めて以上キープするしかないんです」

「そんな辛い恋してて楽しい?」

「・・・私、淳平を初めて見たのって雑誌の中でなんですよ。
 音楽にあまり興味がなかった私が淳平を知って凄く好きになって
 なんとか淳平と関われる仕事がしたいって思いでマネージャーになったんです。
そして今こうして一緒にユニットが組めるって・・・私には全てが奇跡みたいなものなんです。
だから・・片思いだけど辛いとは思ってません」

坂下さんはジッと私の目を見つめると

大きなため息を吐きながら大きく頷いた。

「凪ちゃんの思いはわかった」

「坂下さん・・・」

「それでもさ・・・辛い事があったら僕に話なよ」

坂下さんは私の頭をポンポンと撫でた。

今まで自分の胸の中にしまっていた気持ちを見抜かれたのは驚いたけど

気持ちを吐き出したことで少し楽になった。

「ありがとうございます」

私が頭を下げると

坂下さんは私の頭に手を乗せるとをわしゃわしゃっしながら顔を近づけた。

「そうとなったら残りの歌詞も思いっきり書いちゃいなよ。
もし詞のことで沖野君が何か言っても僕の指示だって言えばいいから・・・」

「はい!」

坂下さんはゆっくりと立ち上げると

優しい笑みを浮かべながらスタジオへを戻っていった。




でもこの時私と坂下さんが2人きりで話をしているのを淳平が見ていたとは
この時の私は何も知らなかった。
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