虹色のラブレター
その時、ポケットに入れていたポケベルのバイブが震えだした。
この数日間、一度も鳴らなかったポケベルが、久しぶりに僕を呼んだ。
そこに表示されていた番号は、僕がよく知っている番号だった。
「誰から?」
『え?あ……うん、友達』
千鶴に聞かれて、僕は嘘をついた。
いや、確かに友達であることには違わなかった。
それは、美貴の家の番号だった。
だけど、そのことを「嘘をついた」と感じてしまうのは、僕が美貴のことをただの友達だと思っていないからだ。と思う。
その嘘は誰のためについたのだろう。
千鶴のため?
いや。
自分のためだと思う。
僕はそれ以上何も言わずに、車を走らせた。
心の中は複雑だった。
「いいの?」
『え?』
「電話しなくて」
『え……いや、うん』
僕は曖昧な答え方をした。
「した方が……いいんじゃない?」
『いや……いいんだ。』
「でも……気にしてる……」
僕は、否定出来なかった。
もしかしたら……千鶴は気付いていたのだろうか。
このポケベルの相手が、美貴だということに。