虹色のラブレター
「一人じゃないでしょ?」
『え!?』
僕が驚いた声を出すと、美貴は「あはは」と乾いた声で笑った。
そして、「だって……」と独り言のように呟いてから続けた。
「じゃないと、智が電話かけてくれるわけないもん」
『……美貴さん。そんなことないよ、俺は……』
「いいよ。じゃまた、ベル鳴らしたら……かけてくれる?」
『う、うん……』
「そっか……じゃ、切るね」
『美貴さん?』
「ん?」
『ごめん……』
「どうして謝るの?」
『だって……』
「そんな謝られたら……」
『ごめ……』
「もっと、悲しくなるじゃない」
『でも……俺に何か言うことあったんじゃ……』
「いいの。……何もないから」
『ほんとに?』
「うん、気にしないで。じゃ、切るから」
電話が切れた。
美貴は必死で気付かれない様にしていたみたいだけれど、その声は涙混じりだった。
こんなに人を傷つけて……
自分の不甲斐無さと、もだかしさに腹が立った。
だけどそれ以来、美貴からベルが鳴ることは一度もなかった。