虹色のラブレター

車に戻ると、千鶴はいつもの笑顔で僕を迎えてくれた。

僕は、彼女の笑顔で元気になれる。

ホッとするというか、安心できる。

だけど、この時だけは違った。

胸がキリキリと痛む。

何もなかったように振る舞おうとしてみたが、美貴の気持ちを考えると、それは無駄な努力だった。

僕の顔を覗き込んで、千鶴は心配そうに聞いてきた。


「どうしたの?」


『ううん。なんでも……ないよ』


顔を上げて、僕は千鶴と目を合わせた。


「そう?」


『うん。じゃ、ドライブの続きしよっか。どこ行く?』


車はもう一度、元の国道に入った。

少しして、千鶴が言った。


「友達に……何か言われた?」


千鶴は「友達に」と言ったが、僕にはそれが「美貴に」と聞かれているように感じた。



< 165 / 278 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop