虹色のラブレター
まず、電車に乗って僕の家に向かい、そこで車に乗り換えてから、僕たちは映画館に向かった。
ウィークデーの夜、映画館はガラガラだった。
「初恋」という映画を観た。
それは千鶴が選んだ映画で、僕はてっきり恋愛ものだと思っていたのだけれど違った。
主人公の女の子が、好きな男の子との「初恋」と、その男の子を守るために、次々と罪を犯していく。
だけど、女の子は生まれながらに持病を持っていて、結局、男の子との恋を実らせることが出来ずに死んでしまう。
物語の最後、男の子はその女の子が犯してきた罪を、「全て自分がしたことだ」と言って自首し、女の子の罪を自分が償っていくという……純愛だけど悲しい内容だった。
映画館を出て、車に乗ってから僕は言った。
『さっきの映画の主人公って……』
「うん」
『千鶴に似てない?』
「え?どこが?私、あんなに美人じゃないよ」
『なんていうか……強いところ』
「そう?でも、本当に強かったのは男の子の方じゃない?」
『え?』
「だって、彼は自分がわざわざあの女の子の罪を被って自首しなくても、普通に生きていけたわけでしょ?なのに、彼は死んだ彼女の為に、彼女を犯罪者にしたくない為に自首したんだから」
『そうだね……。純愛だね』
「うん。だけど、彼女と私はちっとも似てないんですけど?」
そう言って千鶴は、助手席の窓の外を流れる景色を見ながら、乾いた声で笑った。