虹色のラブレター
「うん、今日だよ」
千鶴は何の迷いもなく言い切った。
あの時の彼女が、どんな気持ちで僕とこの約束をしたのかはわからなかったけど、やっぱり僕とは違うと思った。
千鶴に気持ちを打ち明けようと決めた今、この約束だけは守れない。
この約束を果たす時は、二人の気持ちが通じ合った時だ。
『今日は……。ほら、明日も仕事だし。千鶴だって明日は学校行かなきゃいけないと思うし』
僕は思いつきで、いろんな理由をこじつけてごまかそうとした。
すると千鶴の反応は、僕の予想とはまるで違った。
俯いて、自分の膝の上で絡ませた指を見ながら、彼女らしくない少し上ずった声でボソッと言った。
「わかってるよ、そんなこと。それでも……今日がいいから今日って言ってるんじゃない……」
僕は言葉を返すことが出来なかった。
ただ、今まで見たことのない千鶴の仕草を見てしまった僕は迷っていた。