クールな溺愛彼氏様⁉︎



それでも、どうしたって無理だと気付いたときには潔く諦めた。




でも、心は深く傷ついて、しばらく立ち直れなかった。
恋だって、する気なんて起きず、疑心暗鬼に陥ったこともあった。




そんなどん底から這い上がり、ようやく傷も癒え前を向いた25歳冬。
私は椋平に出会った。



「あそこに座ってるお客さん、かっこいいわね!」




加奈子が窓側の席に一人で座っている人を指して言った。
黒髪の、少し長めのふんわりした髪、前髪を横に流してきっちりとスーツを身に纏った彼はコーヒーを片手に仕事をしていた。




「近くのオフィスで働いてる人かな?珍しいよね、男の人が一人でカフェなんて」

「んー?そう?いいと思うけど・・・気分転換だって、必要でしょ」




私には、会社員の仕事はよくわからなかったけど、どんな仕事でも、汗水流して一生懸命働いてることくらいわかる。
そんな時に、少しリラックスできる場所に行きたいって思うのは男も女も関係ないと思う。



その彼は、とても真剣な表情で手元の資料を見ていた。
その真剣な瞳に、目を惹かれたのは確かだった。





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