HER
彼女曰く



それは蒸し暑い風と、真夏の陽射しが容赦なく照りつける日のこと



親友のレイと休日のカフェでまったりしていた時だった。



いつものように、くだらない会社の上司の愚痴と、私の合コン失敗談を笑い合っていたとき



よくありがちな結婚の話にシフトしてからレイの様子が少し変わった。



普段と変わらず、まだまだ先だよね。とか、きっといい人見つかるよ、とか励まし合っていたけれど、ふと遠くを見つめて、少し口角を上げた彼女。



急に黙ったので、どうしたのか尋ねると、




「あたしさ、ホントの本当のこと言うとね…自分の結婚とかどーでもいいんだ。

それより、うちの姉貴がちゃーんと幸せになってくれたら、それでいいっていうか、うん。その方がいい。」



レイのお姉さんのことは、よく話を聞いていた。


物凄く外面が良くて、家に帰ると一気にスイッチが間逆にいっちゃうような人で、
レイ曰く、家の中では相当ワガママなお嬢様だと。


学生時代は部活も勉強も人一倍努力して、自分にも家族にも、厳しかったけど
あんなに頑張ってる姿見てたから、あの人には一生叶わないなぁって思った。と



昔レイが言っていたことを思い出して、なんだか急に寂しくなる。




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