誰にも内緒の溺愛旦那様
黙って聞いていた、けど、
なにかがプツリと切れた。
「颯さんは…悪くない……!
あたしが……結婚したいって、言ったんです…」
「私はお前をそんな風に育てた覚えはない。美智子が同意するとは思わなかった。あいつもあいつだ」
なんでお父さんは………そんな風に言うの……?
「どうして……あたしをずっと一人にしてたくせに…そうやってなんでも決めるの?
医者になることだって、昔からお父さんに言われていたから、医者になることが当たり前だと思ってた。
でも、……医者になることであたしが本当に幸せになるなんて…分からないし……
あたしの人生は……あたしが決めます。
お父さんの人形じゃないんです……っ」
「……いつからそんな風になったんだ、お前は。松田くんの前でみっともない。
悪いが松田くん、そろそろ時間だから、あとは二人でゆっくりな」
え、お父さんどこ行くの!!?
お父さんが部屋を退出して、松田さんが口を開いた。
「院長、1時間後に手術を控えてるんだ。相変わらずのハードスケジュールの合間を縫って、ここに来たんだよ」
「……そ…そうですか」