強引上司の溺愛トラップ
「……え?」

「聞こえなかったか」

「き、聞こえてましたっ!!」


でも、課長らしくない、何だか可愛いお願いで。



「……キスさせろ、とか言われるかと思いました」

「していーならするけど」

「い、いえっ! それはそのっ!」

「分かってるよ。キスは、お前にちゃんと俺のこと好きになってもらってからだ」

そう言ってフッと笑う課長に、思わず見惚れそうになった。黒い笑みじゃなかった。私のことをまっすぐに見つめる……優しい瞳と、温かい笑みだった。


そうしてしばらくすると、「まもなく頂上です」という、ラビットちゃんの声のアナウンスが私たちの乗っている観覧車のスピーカーから聞こえた。


「えと、じゃあ、ど、どうしたらいいですか?」

「おいで」

「……っ!」

課長が、両手を軽く広げて私にそう言う。

おいで、なんて普段は使わない優しい言葉は、課長からしたらちょっとフザけているのかもしれない。でも私は、それを気にすることなく、腰を上げてゆっくりと立ち上がった。


その時。

――ガタン!

「きゃっ!」
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