強引上司の溺愛トラップ
そう話す課長の顔が、耳まで赤く染まった。


課長も……理想の恋とかあったんだ。


課長がまた、身近な人に感じられたよ。



理想と現実って違ったりするけど、理想を抱くことは悪いことじゃないよね?

好きな人と、理想を現実に変えていく……


それって、凄く素敵なことだと思うから。



「……課長、今日は本当にありがとうございました!」

私は、笑顔で、はっきりと、そう伝えた。

さっきまでの私だったら、若干の引っ掛かりがあったから、心からのお礼は言えなかったかもしれない。
でも今は、不思議と引っ掛かりが消えて、素直な気持ちで、課長にそう伝えることが出来た。


「ん。俺も楽しかったよ」

「でも何か、色々気を遣わせてしまいましたよね? 回る場所も、私が行ってみたいところに行ってくれましたし」

「別に気を遣ったつもりねーよ。寧ろもっと気遣いたかったわ。チケットはお前の兄さんがくれたやつで入園したから入園料おごってやれなかったし、飯代だって、お前『自分の分は自分で払いますー!』とか言って、払わせてくれねーし。回る場所も、俺別に遊園地に詳しくねーし、お前が行ってみたいところ言ってくれるのが楽だった。……でもまあ、そうだな、お前がそう言うなら、ひとつ、言うこと聞いてもらおーか」

そう言ってニヤリと笑う課長に、私はビクッと顔をひきつらせる。黒い笑みだ!悪いこと考えてる時の顔だ!


……そう、思ったんだけど。



「頂上まで行ったらさ……



抱き締めさせて」
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