強引上司の溺愛トラップ
とはいえ。

数年振りの遊園地は、単純に楽しくて。


カップル限定デーということもあってか、土曜日にしてはあんまり混んでいないし、ゆっくりまったり過ごすことが出来た。



「はぁ……とても楽しいです……」

園内のカフェのテラス席で、私は紅茶が入ったカップを両手で支えながら項垂れた。


「え、何。言葉と表情が合ってないんだけど。何でそんなに落ち込んでんだよ」

課長は、正面の席で同じく紅茶をズズッと音を立てて口にしながらそう言う。その紅茶の飲み方で、課長がやや不満気なのが分かる。自分が俯いているから課長の表情は分からないけど、きっと眉間にシワを寄せているだろう。


「い、いえその……あの、今から私、凄く性格の悪いこと言っていいですか?」

ゆっくりと顔を上げながら私がそう言うと、課長は「いいよ」と言ってくれる。


「凄く……楽しいです。本当に。でも、まだ、お付き合いとかは考えられなくて……」

「うん」

「か、課長が悪いとかではないんですよ。ただ、私が自分自身の気持ちをよく分かっていなくて……。こうやって、一緒に過ごす時間を楽しめば楽しむほど、課長には……その、お、思わせぶりになってしまうかもしれないって思ったら、楽しい気持ちの反面、どうしたらいいか分からなくもなって……」


うぅ。言えば言うほど、ほんとに性格悪い。私は何様だ。でも、変に勘違いさせてしまうかもしれない態度をとるんじゃなくて、自分の気持ち、ちゃんと伝えたかった。
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