契約結婚の終わらせかた番外編集





伊織さんは渋々仕事へ行った……というか葛西さんに拉致同然で強引に連れて行かれました。


葛西さんがにこやかに
「伊織くん?キミ、仕事詰まってるの判ってる~? そんなに会社の椅子をなくしたいかな? 別にぼくは次の社長が誰になろうが構わないけどね」
なんておっしゃいますからね。


仕事の鬼だった伊織さんも最近は定時に合わせて出社するし、帰宅も早くなってきてほっとする。持病が心配なままだから、少しでも負担が減ってるなら安心。


とはいえ、今日は花子の異常事態にずいぶんと心を痛めてた。彼はこの数ヶ月我が子のように太郎と花子をかわいがってきたから、仕方ないことかもしれない。


(さてと、おはる屋に行く前に駅前の書店にでも行ってみようかな)


一通りの家事をこなした後、午前10時にオープンする書店の開店に間に合うよう、小屋に置いた自転車を取り出して駅前まで走らせる。


スマホでも調べものはできるけど、相変わらず通話しか使わないしネットよりは本の方が信頼性が高いかなと考えて。古い考えかもしれないけど。


花が終わってほとんど葉桜になった桜並木を通り抜け、橋を渡り駅前通りに出る。


だどり着いた書店でまず最初に探したのは、魚の飼育やアクアリウム関連の本。


いくつか見つけた私は、手当たり次第に広げて捜してみた。


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