水曜日の片想い


「えっ……」



「あっ、それ…………!」



手で触れた1冊の本と共に、本棚までくっつくようにわたし向かって倒れてきた。



「えっ!?あ、わっ!」



まって、まって、嘘でしょ!?


中に入っている大量の本たちも、合図を待っていたかのようにわたしに向かって一斉に飛びかかってきた。



「ひゃっ……」



だめっ………倒れる……!



「ちっ………」



狭い本棚と本棚の間の空間にはどこにも逃げ場がない。


ぎゅっと固く目を閉じて、とっさに頭を抱えてしゃがみ込む。



そしてすぐに、ガターン!と大きな音が静かな図書室に響いた。





…………あれ?



あんなに大量の本が降ってきたのにもかかわらず、1冊もわたしにぶつかっていない。



え、なんで?

確実に本棚倒れたよね?


全然どこも痛くないや。




閉じていた目をゆっくり開けると、


「たっ………」


息もできないほどの衝撃が脳内に走った。


< 16 / 291 >

この作品をシェア

pagetop