水曜日の片想い
「たちばな……くん……?」
「………っはぁ……」
わたしを庇うように、“あの”橘旭陽くんが覆い被さっていたからだ。
呼吸が荒く、額にはじわりと汗を浮かべている。
もしかしてわたしのこと守ってくれたの……?
つい数秒前まではカウンターに座っていたはずなのに。
わたしを助けるためにわざわざ……?
っ……。
どうしよう。
急にこんなことされたら、いくらなんでもドキドキしちゃうよ。
今まで聞いたことのないような、走った後の疲れたドキドキとは違う。
胸がきゅうっと苦しくなるような感じ。