水曜日の片想い


だけどそんな苦労も積みかさなり、今では最初の眠くなった自分の面影はどこにもない。



「趣味は読書です!」と胸張って言えるくらいにかなり熱中してきた。


橘くんと本の話をするのも密かな夢。

この夢が叶うのはそんなに遠くないかもね?



結局ゴミ捨てが終わった後でも頭の中は橘くんでいっぱいだ。


鼻歌交じりにご機嫌なステップを踏んで校舎裏を歩く姿は、端から見れば異常者かもしれない。

そう思うと、さすがに橘くんのことばかり考えるのはやめようと思ってきた。


このままだと本人に気持ち悪いと引かれてしまう恐れがある。



よし、それなら今読んでる途中の本のことを考えよう。



たしか昨日は、ちょうど主人公が運命の花嫁を探す旅に出初めたところだったっけ。


運命の花嫁を探す旅なんてロマンチックだよね。



素敵すぎて憧れちゃうけど、運命ってなにがあったらそう呼べるんだろう。


自分の意思とは関係ない神様が決めた相手ってことでしょ?


神様が決めた相手と結ばれて幸せになれる保証なんてあるのかなぁ。


なんて、ちょっとした現実を考えさせられる深い内容だ。


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