水曜日の片想い


「………好きにしろ」



少し頬を赤く染めて、徐ろに本で顔を隠しながらそう言った。


たっ、橘くん………。


どうしよう、めちゃくちゃ嬉しいよ。


「うん、ありがとう!」


勇気を出して本当によかった。


見ていることしかできなかった橘くんと、一緒に帰る権利を手に入れることができたんだもの。

これは一歩前進できたと思ってもいいよね?


あぁ、もう最高に幸せ。


図書室で会うときよりずっと距離が近くて、

少し横に動くだけでぶつかってしまいそう。


顔が緩みまくって「ふふふ」と勝手に変な声が漏れてくる。


キモい女だと思われたらどうしよとか今は考えてる余裕もない。


大好きな橘くんの隣を歩いているんだもの、にやにやせずにはいられないよ。


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