水曜日の片想い


って、バカ!?


橘くんの毒舌にぐさりと胸を突き抜かれた。


久しぶりに「瀬戸」って呼んでくれたのに………なんかあんまり嬉しくない。


たしかに自分でもバカだとは思ったけど、こんなにストレートに言われるとさすがに心が折れそう。



きっと呆れてため息なんかついてるんだろうな………。


一歩前進どころか大後退だよ。



「ん、早く起きなよ」



「へ?」



ふと顔を上げると、

ため息なんかひとつもついてなくて、むしろ倒れているわたしに手を差し伸べてくれていた。


持っていた本はいつの間にか鞄の中に消えている。

読書中なのに……本よりわたしを優先してくれるの?



「ありが……とう……」



遠慮なく橘くんの手をを掴んで、体を起こす。



こういうことするから好きなんだ。

こういうことするからドキドキするんだ。


苦くて甘い、王子様の誘惑。



橘くんの手……握っちゃった。


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