水曜日の片想い


「早く立て。ずっと座ってるなら置いていくぞ」


「あ、ごめんね」


いつの間にか立ち上がっていた橘くんは帰る準備万端。


鞄の中にある読みかけの本を取ろうとしてるし、早く続きが読みたくて仕方ないんだろうなぁ。


急いで立ち上がろうと足を地面につけた途端、


「ったぁ……!」


全身にみ激痛が走った。


擦りむいた膝からビリビリと痛みが駆け巡る。

えっ!?擦りむいただけなのに、なんでこんなに痛いの?


わたしの足ってこんなに脆かったっけ!?



「いっ、痛くて……立てない………」


「はぁ?」



橘くんが呆れた顔でわたしを見ていた。

冷たい視線を向ける橘くんを見て今にも泣きそうになる。



痛みじゃなくて、橘くんに嫌われたらと思うと涙が出そうになるの。


橘くん………今度こそ呆れて帰っちゃうかな。


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