水曜日の片想い
こんなことで嫌われるくらいなら、どんなに痛くたって気合いで立つしかないんじゃない?
せっかく橘くんと2人きりなのに足が痛いという理由で投げ出したくないもの。
よし、橘くんのためならどんな激痛だって耐えてみせーーー。
「ほら、手繋いでやる」
「へっ!?」
また差し伸べられた手に、ドクンと心臓が跳ね上がった。
たたた、たっ、橘くんの手をまた握っていいの!?
てゆうかこんな凡人と手なんか繋いでくれちゃうわけ!?
あまりの衝撃的な行動に驚いて、脳内は考えることを止めてしまっている。
頭も、体も、感覚を奪われたみたいに鈍くて動かない。
「なに……もしかして、手繋ぐより腕組みしないと歩けないとか?」
不機嫌そうに差し出した手を引っ込めようとするが、さすがにわたしは見逃さなかった。
「と、とんでもないです!!」
目の前から無くなってしまう前に、急いで橘くんの手をぎゅっと掴んだ。
たしかに腕組も憧れだけど、手を繋ぐのも当然の憧れ。
橘くんが向けてくれた優しさを台無しにするわけにはいかないもんね!