その嘘に踊れ
滑ってきた銃をよく磨かれた革靴で踏みつけ、アイツは言う。
「これでおまえは追い込まれた」
あー… うん、そうね。
改めて言う必要もないと思うケド。
「なのに、なぜ助けが来ない?」
ハイ?
『助け』なんて、来る予定ないケド。
あ、そうか。
俺が『Unnamed Children』を煽動してるとか、勘違いしてンだっけか。
「俺は『ならず者の夢』なんて見ていない」
腹に響くバリトンボイスで、アオがキッパリと否定する。
するとアイツは、吐き気がするほど満面に媚びを滲ませて微笑んだ。
「あぁ、その誤解ならもう解けた。
だが『Sy-u800』、おまえは別の組織の傘下に入るつもりなンだろう?」
ナニ言ってンの?
そんなつもりはないし、別の組織なんて知らないし。
てか、その顔キモイ。
「連絡役のあの男も、ギャアギャアうるさいパチンコ屋の女とトイレに入ってから、帰ってこない。
なぁ、先に消えた『Unnamed Children』やあの男諸共、他所に移る気なンだろう?」
ナニ言ってンの?まじで。
帰ってこない、だって?
コーヒー塗れになったビジネスマンが?
いったいどういうコトだ…
てか、その顔キモイって。