その嘘に踊れ

「読まない。
東○圭吾を、じゃなくて。
ミステリーやサスペンスは好きじゃない。
だって人が殺されるンだよ?」


俯きがちにフルフルと頭を振って、アオは答えた。

空気を読んで話の流れを変えていただき、ありがとうでゴザイマス。

加えてアオの様子も、ゆるやかに、だが着実に変化していく。


「誰かが誰かを殺すンだよ?
ソコには笑いも感動もなくて、あるのは奪われた命と、命を奪った咎人だけだ」


「…」


「殺すだけの理由とか、殺されるだけの理由とか、そんなモノに意味なんてない。
人の命を奪うコト、そのものが罪なンだから」


「…」


「その罪は、ナニをしたって消えなくて。
それがわかっていながら、生きるために重ねたくもない罪を重ねて。
贖えない罪を重ね…

とか言いつつ、なんやかんやであの高利貸しを殺したのは正義じゃね?なんて悩む、ラ○コーリニコフなンですヨ、俺は」


まるで別人のような無機質な声で虚ろに呟いていたアオは、二つの黒水晶にジっと見つめられているコトに気づき、慌てて口調を変えてヘラっと笑った。

が…

ナニ語ってンの、ラス○ーリニコフぅぅぅ!?

コレじゃ、自白じゃん!
重犯罪の自白じゃん!

こんなんで誤魔化せた!?
心を見透かす瞳を持つ彼女を、ドコまで誤魔化せた!?

教えてクダサイ!
ド○トエフスキー大先生ェェェェェ!!

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