ノイジーマイノリティー
ハルは店に入ると
店の中をキョロキョロとした
心配そうな顔で
その真剣な姿に胸が締め付けられる
私を探しているんだと思うと
嬉しさが胸の奥を温めた
じっと彼を見つめる
ようやく彼が私に気づく
その瞬間の彼の笑顔
私だけのものだ
私を見つめてこちらへやってくる
私は思わず立ち上がった
「最初から迎えに来てって
言えばよかったのに」
空いた向かいの席に
座りながらそう言った
「ごめん、色々トラブった。」
素直にそう言う
ハルが笑った
「疲れたかな」
ハルがそう優しく聞いてくれる
「少しね、でも大丈夫だよ」
ありがとうハル
その言葉を聞いてハルは、よしと言った
「じゃ、スタジオにおいで
リハーサルするから、見てきなよ
愛果見たいでしょ久しぶりに。」
うん、すごく見たかった
久しぶりのハルの演奏が
生で聴けるなんて
疲れなんて吹っ飛んじゃう
そうハルに言う
「そのあとで、一緒にご飯たべよう
愛果を連れて行きたいとこ探しといた」
ハルは立ち上がり
私の手を取り引っ張った
引かれるままに立ち上がる
足元に置いた荷物も持ってくれた
「さ、いこう」
二人で歩き出す
こんな日をどんなに夢みたことか
彼に手を引かれ、彼の後ろを歩く
彼の手の温かさ
背中の優しさに
幸せを噛みしめていた