中毒性アリ!?副編集長に手なずけられました
「……くだらない。そんなことで傷つく必要なんて一切ない」
「ま、真塩さん……えっと」
「紫水お前、ものごとに無関心そうに見せかけて実は優柔不断で流されやすいだろ」
真塩さんの手が、頬から唇に移動していく。唇を親指で押された瞬間、私はギュッと目を瞑った。
「わ、分かってるなら、な、流さないでくださいっ……」
「はは、すごい煽り文句だな」
顎をくっと持ち上げられて、気づいたら唇が重なっていた。
耳元で、〝キスまではするつもりはなかったけど、気が変わった〟と囁かれた。
言っておくけど、私は流されれば誰とでもキスをするとか、寝てしまうとか、そこまではバカではない。
本当に嫌なときはちゃんと拒否できるし、エッチだって好きな人とじゃないとできないし、したことはない。
恋愛に関してはそこそこ真面目にこなしてきたはずなのに、どうして真塩さんには逆らうことができないのだろう。
単純に顔が良いからとか、スタイル良いからとか、そんな理由だけじゃない。
もっと本能的な、奥深い所で、この人に惹かれている気がする。
「……誰かとキスしたの、五年ぶり」
唇を離した後、彼は衝撃的な一言を呟いた。
「そ、それは潔癖だからですか……?」
「俺の中でセックスよりハードル高い」
「セッ……そ、そうなんですか。それは光栄です……」
気まずくて、赤面しながら俯くと、また顎に手をかけられた。
またキスをされるのかと思ったけど、真塩さんは私の首筋に顔を埋めて、唇を這わせた。
「俺も柔軟剤レノノにしたんだけど、こんな匂いにはなれなかった」
「こんな匂いとは……」
「すごく、落ち着く匂い」