中毒性アリ!?副編集長に手なずけられました
「わ、私っ……」
真塩さんの大きな手に髪をくしゃっと撫でられた瞬間、私は声を上げた。
何を言うか全く用意していないまま、私は感情に任せて口を開いてしまった。
「私、前彼に、ヤリ捨てされたんです……っ」
「……え」
――しまった。こんなこと言うつもりじゃなかった。
どうしてなんだろう、どうして私、出会った日からこの人の前では嘘がつけないんだろう。言おうとしていないことを言ってしまんだろう。
どうしてだ、怖いよ。この人は危険だ。まだ出会ったばかりなのに、心がゆるゆるになってしまう。
「や、ヤリ捨てっていうか、初めてエッチした時、つ、つまらないって言われて……それきりあまり連絡が取れなくなって」
真塩さんは今一体どんな顔をしているんだろう。きっと戸惑っているはずだ。こんなに面倒くさい過去のことを暴露されたって、なんの慰めの言葉も出てきやしないだろう。
「だ、だから私、怖いんです……男の人と付き合っても、そういう流れになった時、が、がっかりさせちゃうんじゃないかって……」
バカみたいだ。自分がみじめで仕方がない。それなのに、言葉が止まらない。
「だから真塩さんとそういうことはー……」
「……そんな悩みは、男側だけが抱えていればいいんだよ」
「え……?」
「意外とバカなんだな、君は」
ギシ、と音を立ててソファが軋んだ。視界が暗くなり、ぐっと肩を持たれて仰向けにされた。
……真剣な表情の真塩さんが、私の瞳を真っ直ぐ見つめて、髪を撫でた。
それから、私の背中にぐっと腕を回して、きちんとソファに座らせてから、テーブルに置いてあった炭酸水をぐっと飲み干して、呆れた口調でこう言い放った。
「言っておくけど、その男はクズだ」
「く、クズ……」
「そしてそんなクズに言われたことを今もぐずぐず気にしている君もくだらない」
あまりにもな言い方に、一瞬カチンと来てしまい、反論しようとしたが、真塩さんは私の方を向き、乱暴に頬を撫でた。
そして、とびきり低くてセクシーな声で囁く。