中毒性アリ!?副編集長に手なずけられました
「君は今これを飲んだ」
「……はい。飲ませて頂きました」
「別に嫌じゃなかった」
「……ん?」
やばい、何が言いたいのかまだ全く分からない……。
「会社ではバレないようにしてるけど、実は俺は極度の潔癖症だ」
「あっ、そうだったんですか! だとしたら見知らぬ胃痛女が飲みかけのペットボトルに口をつけるなんて行為、死刑に近いのでは……」
「そうだ、本来なら今すぐこのペットボトルを捨てたい」
「そこまで言いますか」
「……でも、全然嫌じゃなかった。柔軟剤や体臭が一緒とかそういう理由を考えたんだけど、そうでもなさそうだし……」
わ、私にそんなこと言われたって、私こそ全く分からないんですけど……。
真塩さんはペットボトルを見つめながら、ひたすら頭の上にはてなマークを浮かべている。
エリートと呼ばれている彼が、こんなに困り果てている様子は、中々見られないレアなものなんじゃないだろうか。

「イケメンってどんな表情をしていても絵になるんですね……」
「……それはどうも」
「待ってください、今のは聞かなかったことにしてください」
どういうことなんだ? 私の口はなんでこの人を目の前にするとこんなに緩くなってしまうんだ?
すぐに否定したが、真塩さんは私の言葉を完全に無視して、自分の顔を指差してとんでもない質問をしてきた。
「俺そんなにイケメン?」
「やめましょう真塩さん、私が悪かったですすみません本当にイケメンですすみません」
「君、ふつうに面白いね」
「本当にすみませんでしたっ」
顔の前で腕をクロスし赤くなった顔を隠して全力で謝ったが、彼はくっと喉を鳴らして笑い、私の腕に触れた。

「あ、やっぱり触れる」
真塩さんの手が肌に触れた瞬間、電流が走ったみたいな甘い痺れが体を貫いた。
「……俺さ、エレベーターに乗る時も、香水とか汗の臭いが苦手で、意識的に息止めちゃうんだけど、さっきは全然大丈夫だったんだよね」
真塩さんの大きな手が私の腕をするすると滑り、私の腕をゆっくりと顔の前から膝に下ろしていく。
彼の視線が私だけに注がれていることは分かったが、私は彼の方を見ることができなかった。
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