それでもずっと愛してる
「マリッジブルーですか?なんて、んなはずないよね」
美咲がちょっと私をにらんだ。
「まさか…今日は、美咲に披露宴のスピーチを頼んだら
また式場で打ち合わせ。マリッジブルーになってるヒマもないよ」
私は大げさにうんざりして見せた。
「そりゃ、そうだよね」
美咲は口をとがらした。
「相庭くんといえば、高校時代から学校のアイドルで、優しくて性格も良くて」
「はい、はい…」
私はまた始まったとばかり相づちをうった。
「実家もお金持ちで、そんな彼と高校から一途に付き合ってゴールイン…。
マリッジブルーになる要素なんて、ゼロだよね」
そう言い聞かせるように言って、ストローでまた氷をカラカラ回した。
「結衣、もう、忘れたんでしょ、あの彼のことは…」
美咲が、氷を回すのをやめ、私を見つめた。