婚約者はホスト!?③~夫婦の絆~

「なつ もしかして 俺が取引先の社長に誘われたこと知ってたの?」

私は、黙って頷いた。
それにしても、泣きながらそんな寝言を言っていたなんて…。
 
「瀬崎さん すみません! 私がなつさんに話しちゃったんです。あっ でも なつさん その話 瀬崎さんは…」

「うん 大丈夫だよ。大事な取引先の社長さんが相手じゃ、断れないってちゃんと分かってるし。圭司の周りにいる女性は、圭司が何もしなくたって、いつも向こうから寄ってくるんだよね…。圭司のせいじゃないし、こんな事で、いちいち 私は…」

やきもち妬いて困らしたりなんかしないから。
そう 言おうと思ったのに、涙が邪魔して言えなかった。

私は、一体 今日どれだけ泣いんてるんだろう。こんな面倒くさい女圭司だって嫌だよね。

「悪い 杉本…。ちょっと 抜けさせて…」

圭司はそう言って、私の腕を掴んで立ち上った。

私は圭司に手を引かれたまま、店の前に止まっていたタクシーへと乗せられた。

「圭司…?」

戸惑う私の声にかぶせて、圭司が運転手さんに言った。

「プラザホテルまで!」

えっ?と驚く私を見て、圭司はふっと笑った。

「部屋 予約してあるんだ。明日 なつ 仕事休みだって聞いてたから…。」

そう言いながら、圭司は私の涙を手でそっと拭った。
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