Uncontrolled(アンコントロールド)
そのことに気付いた時には、朝倉は星名を怖がらせないようにと、見に纏うオーラのようなものを自在に操っているのかもしれないとも思ったくらいだ。彼くらいの人間であれば、そのくらいできて当然のような気がしてしまう。
大学から一人暮らしをしているとはいえ、いわゆるお坊ちゃま育ちとは違い、きちんと生活力を身に付けている朝倉は王子様以上の存在だ。
学生時代からつい数年前まで狭い1Kで暮らしていた事にも驚いたが、就活が始まるまでアルバイトをしていたという話を聞いて、全ては両親の教育方針の賜物なのだろうと推測する。生まれ育った環境に胡坐をかく訳でも驕る訳でもなく、多くの人々が送るような普通の学生生活を過ごしながら社会性を身につけさせようという意図に気付き、彼自身もその大切さを重んじたのだろう。上に立つ人間ほど、その立ち居振る舞いは監視されることになる。誰にでも分け隔てなく優しい朝倉は、その事を恐らく幼少期から十分理解していたのだろう。
星名が知っている朝倉は、高校時代の一年間だけだ。
そして、再会してからの3ヶ月間。
彼に対する印象は、10年前とさほど変わらない。
いつだって星名に優しくしてくれる。
時にからかったりしながら面倒を見てくれて、笑わせてくれる。
星名が知らない朝倉の時間を知りたいとも思うが、実際こうして目の前にいる朝倉のことだけを知っていられれば良いとも思う。
朝倉もシャワーを浴びにいき、戻ってきてから少しだけ会話を交わした後は、彼は寝室へ、星名は用意された布団に入った。
何か起きるかもしれない、と淡い期待にも似た緊張感はあっさりかわされたようだ。
やはり朝倉は星名に対して必要以上の感情は持ち合わせていない。仮にもしあったとしても、後輩の恋人を奪ってまでという気持ちはないという事だろう。
このままでいい。
紳士な対応をできる朝倉は、やっぱり王子様だった。
胸を過る寂寥感は、その分だけどこかで自惚れていたという証だ。
恋人がいながら浮気をする大胆さも勇気もないのにどこかで待ち侘びていた事に気付いて、身の程知らずな自分を恥ずかしく思う。
暗闇の中、静かに時を刻んでいる秒針の音が段々と遠のいていく。
朝倉が望む関係に身を置こうと決めたのを最後に、星名は意識を手放した。
大学から一人暮らしをしているとはいえ、いわゆるお坊ちゃま育ちとは違い、きちんと生活力を身に付けている朝倉は王子様以上の存在だ。
学生時代からつい数年前まで狭い1Kで暮らしていた事にも驚いたが、就活が始まるまでアルバイトをしていたという話を聞いて、全ては両親の教育方針の賜物なのだろうと推測する。生まれ育った環境に胡坐をかく訳でも驕る訳でもなく、多くの人々が送るような普通の学生生活を過ごしながら社会性を身につけさせようという意図に気付き、彼自身もその大切さを重んじたのだろう。上に立つ人間ほど、その立ち居振る舞いは監視されることになる。誰にでも分け隔てなく優しい朝倉は、その事を恐らく幼少期から十分理解していたのだろう。
星名が知っている朝倉は、高校時代の一年間だけだ。
そして、再会してからの3ヶ月間。
彼に対する印象は、10年前とさほど変わらない。
いつだって星名に優しくしてくれる。
時にからかったりしながら面倒を見てくれて、笑わせてくれる。
星名が知らない朝倉の時間を知りたいとも思うが、実際こうして目の前にいる朝倉のことだけを知っていられれば良いとも思う。
朝倉もシャワーを浴びにいき、戻ってきてから少しだけ会話を交わした後は、彼は寝室へ、星名は用意された布団に入った。
何か起きるかもしれない、と淡い期待にも似た緊張感はあっさりかわされたようだ。
やはり朝倉は星名に対して必要以上の感情は持ち合わせていない。仮にもしあったとしても、後輩の恋人を奪ってまでという気持ちはないという事だろう。
このままでいい。
紳士な対応をできる朝倉は、やっぱり王子様だった。
胸を過る寂寥感は、その分だけどこかで自惚れていたという証だ。
恋人がいながら浮気をする大胆さも勇気もないのにどこかで待ち侘びていた事に気付いて、身の程知らずな自分を恥ずかしく思う。
暗闇の中、静かに時を刻んでいる秒針の音が段々と遠のいていく。
朝倉が望む関係に身を置こうと決めたのを最後に、星名は意識を手放した。