Uncontrolled(アンコントロールド)
「先輩、私……もうっ」

彼の腕に触れれば、意図を理解して指をずるりと引き抜く。
それさえも快感で、思わず溜息を洩らしていた。出ていく指を腰が名残惜しそうに追い掛けていこうとする衝動を抑えきれない。

キッチンにいた時から硬くして熱を持った朝倉の劣情をいよいよ艶めいて滴る蜜口に押し当てられたとき、それまで心待ちにしていたにも関わらず、びくりと恐怖に身体が戦いて腰が引けてしまう。
愛撫に当てた時間辛抱強く待ち続けた彼のそこは、星名がこれまで知っている大きさとは別格だった。

「……やっ、待って先輩! 待って……」

縋るように見上げれば、伸ばされた朝倉の手のひらが、ふんわりと星名の頭を撫でる。

「大丈夫だよ。ゆっくり息を吐いて。……そう。上手だね」

朝倉が前傾姿勢で上半身を倒しながらあやすように囁いて、星名の頬に瞼に、まるで鳥の羽根に触れられているような優しいタッチでキスを落としていく。
言われるまま細い息を繰り返し吐いていると、朝倉の欲望が星名の呼吸に合わせて奥深くへとつき進んでくる。

こつんと、星名の最奥に朝倉が到達すると、なぜか達成感でいっぱいになる。

「少しこのままでいようか」

星名の身体に馴染むまで待ってくれるということだろう。
その間髪を撫でながら顔のあちこちに愛おしむようにキスを落としてくるのは、星名を怖がらせないための気遣いなのだろうか。
朝倉の肩にそっと手をやると、その手を彼に取られて口元へと導かれる。
手のひらや手首の内側に、ちゅ、と音を立てて柔らかい唇が押しつけられる。
キザにも思える行動でも、朝倉がすると何でもサマになってしまう。

手首に向けられていた視線が星名へと移され、にこりと微笑まれただけなのに、胸いっぱいに甘苦しいときめきが広がってきゅううと心臓が痛くなる。
同時に、存在感を主張している朝倉の劣情を誘い込むように星名の内側が痙攣したのが分かった。

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