夏の恋は弾ける炭酸
夏祭りは、射的で恋のアタック!?


待ちに待った夏祭りの日がやって来た。
今日は思いの外じめじめしていない。昨日は暑くて寝苦しかったのに…。


ただいまの時刻…10時ジャスト。
夏休み中ゴロゴロしているからなのか、目覚ましをかけないと、どうも起きられない。


まぁ、休みだからいいんだけどね~。


「夏菜、起きてるの?
今日はデートなんでしょ!?お母さんが新調してきた浴衣の着付け、メイク、髪型のセットをするから降りて来なさい!」


「は~い
起きてるよー!今行く!」


一階から響くお母さんの声。
今日はどうやら、お母さんが一番張り切ってるみたい。


それに…"デート"するなんて一言も言ってないのに、お母さんったら、期待しないでよね!


私は心の中でそう呟いて、自分の部屋を後にした。


リビングに入ると、キッチンにはお母さんが立っている。
どうやら食器を洗っているみたい。



「お母さん、おはよう」


「夏菜…ご飯先に食べちゃいなさい?
今日は、夏菜の大好きな卵焼き沢山作ったから」


「ありがとう!お母さん!」


私はお母さんにそう言うと、席について朝御飯を食べ始めた。
う~ん。やっぱりお母さんの作る卵焼きは、美味しいなー!



朝御飯を食べ終えた私は準備をする為に、顔を洗ったり、歯磨きをしたり、シャワーに入った。


時刻も12時を過ぎ、段々裕樹くんとの約束の時間が迫ってくる。


「夏菜、ここに座って?」


そんな時に、お母さんがセッティングした椅子に私を招く。

髪を乾かし、髪型をセットしてくれるらしい。

お母さんは静かにドライヤーにスイッチを入れ、髪を乾かしている。



「夏菜が夏祭りに誘われるなんてねー
お母さんも昔…夏菜くらいの年の頃は、夏祭りによく行ってたな~

その夏祭りに行ってた人が、今のお父さんなんだけどねぇー

お父さんは不器用ながらもお母さんを誘ってくれて、射的で"ぬいぐるみを取ったら付き合ってください!"ってお父さんに言われちゃって、結果は完敗だったけど・・・

お父さんの熱くなっている背中を見て、ついオッケーしちゃったというか…
でも今は夏菜もいて幸せだよ!

だからお母さんはいつも夏菜の味方だし、恋の応援してるから頑張ってね。」


お母さんにも昔そんなことがあったなんて。
しかもそれがお父さんだって知って、笑っちゃったけど・・・
お父さんも不器用だったんだね。


射的で恋のアタックするなんて、案外男前だね!お父さん。



「お母さん、いつもありがとう!!」


私の口から咄嗟に、お母さんへの感謝の言葉が溢れる。


「どうしたの?急に」


鏡越しに映るお母さんは、きっと驚いている。


「いつも面と向かって言えてないから…」


「夏菜、ありがとう!!
お母さん嬉しい」



お母さんがあまりにも嬉しかったのか、後ろから優しく抱き締めてきた。

お母さんの愛が存分に伝わる今日この頃。


とてもお母さんのぬくもりは温かくて、愛で満ち溢れていました。
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