夏の恋は弾ける炭酸
「ご、ごめん…
分かんない」


由梨には、私が和泉くんの事が好きだって、言ってあるんだけどね。

由梨は私の事を思ってか、嘘をついた。
由梨は嘘をつくのが苦手なのか、和泉くんにバレている気がする。


「そっかー
ありがと!」


彼は由梨にお礼を言うと、手の模型作りの作業に取りかかった。
粘土を手の形になるように、付けている。


私は彼の目を盗んで、由梨にごめん!のポーズをした。
由梨は"大丈夫!"と そう声に出さないで口だけを動かす。


私も粘土を手の形になるように、くっつけていく。

不器用に作業をしている私を見かねたのか、器用な彼が粘土付けを手伝ってくれた。


「お前って、本当に不器用だよなー」


「う、うるさいしー!!」


「別にそんな怒んなくてよくね…?」


「あ…ごめん…」


私の落ち込んだ顔を見た彼は、私を笑わせようと、自分の頬を掴んでは変顔してきた。


彼の頬には、かすかに粘土が付いている。

粘土付けてるとか、本当にヤンチャで可愛いな。



「ぷっはっ、あはは」


「あ!やっと笑ってくれた」


「だって顔に粘土付いてるんだもん!」


「嘘だろ!?取ってよ!」


「いやだ~」


彼は更に目を細めて、笑って私に接近する。


本当に彼は、天使みたいに柔らかい表情を私に見せてくれる。



彼はそれ以上何も言わないで、先生に怒られる前に作業に戻った。



窓から吹き抜ける風が、彼の頬を掠めて、私の髪をなびかせた。


まるで夏の恋は弾ける炭酸のように、私の耳元でパチパチと弾けている___
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