幸せの定義──君と僕の宝物──
ハルの作ったチャーハンで昼食を済ませ、しばらく経った頃。

レナはソファーに座り、時計を見ながらお腹の張る時間の間隔を調べていた。

(さっきは20分だったけど、今は15分か…。少しずつ間隔が短くなってきてるかも…。)

時刻はまだ3時前。

確実に短くなっている間隔が気になって、レナはついに病院に電話をしてみる事にした。

病院に電話をして、スタッフにお腹の張る間隔や痛みが少しある事、東京を離れているユウが戻って来られるのは夜になる事を説明した。

山田先生の判断で、“歩けるうちに病院に来なさい”と指示があり、レナは電話を切った後、できるだけ落ち着いた口調でハルに話した。

「ハルちゃん…もしかしたら、これからお産が始まるかも知れないの。今はまだ弱いけど、陣痛が来てるみたい。」

「えぇっ?!」

ハルは思いもよらないレナの言葉に驚いて、あたふたし始めた。

「落ち着いて、ハルちゃん。すぐには生まれないから。初めてのお産だし、時間がかかるとは思うんだけど…。今、病院に電話したら、ユウもいないし歩けるうちに病院に来なさいって。ハルちゃん、悪いけど付き合ってくれる?」

「もちろんです!!行きましょう!!」

それからハルが荷物を持ち、戸締まりをして、ゆっくりと歩いて病院へ向かった。

「レナさん、大丈夫?」

無意識のうちに時折お腹をさするレナの顔を、ハルが心配そうに覗き込んだ。

「まだ大丈夫。時々痛む程度だから。」

「レナさん、ユウさんに連絡は?」

「ライブ前に余計な心配掛けたら、ユウが集中できないと困るでしょ?まだ陣痛の間隔も長いし、もう少ししたらライブも終わると思うし…病院に着いたら連絡してみる。」


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