BLUE‐PRINCE
「葵には言ってなかったけど…葵の名前を決めたのは咲誇なんだぞ」
ポツリと、父さんが言った。
「アイツ、無駄に花言葉に詳しくて。『葵』の花言葉は…『野心』なんだとよ」
『野心』?
なんか……微妙な響き。
「『野心』…諦めることを知らない、素直で純粋な好奇心。無限の可能性を願って、俺らは『葵』を選んだ」
懐かしいという顔で、父さんが微笑む。
今から20年前の、父さんと母さん。
僕も……そのときの2人と同じ状況なんだ。
そう考えたら、不思議な気分になった。
父さんたちは、僕をちゃんと育ててくれたけれど。
……僕には、出来るだろうか。
「父さん…」
「ん?」
「僕、奏多をきちんと育てられるかな」
「……?どういう意味だ?」
「人と関わったことがないから……どういうふうに奏多を育てたらいいのか、分からないんだ」
ハンドルを強く握り締め、俯く。
「どうやったら……父さんや母さんみたいに出来るかな…?」
父さんはうーんと考え込み、一言言った。
「…………葵って、馬鹿なんだな」
・・・え。
言われたことが理解できず、父さんを二度見してしまった。