腹ぺこオオカミはご機嫌ななめ
菅原先生のお家に1度戻って、荷物を持って寮に戻る事になっていたので、
部屋に戻った。
部屋の中を見回す。
これで、ここに来るのもおしまいだって思うと、すごく悲しい。
菅原先生が
「ウサギ、こっちに来て。」と私の手を引いて、ソファーに座らせる。
私の掌に部屋の鍵を置いて、
「ウサギのだよ。いつでも来て。」とまっすぐに私を見つめる。
私はびっくりして、先生を見つめ返す。
「そんなに、驚く事?僕はウサギの事が好きだって言ったよね。」
と私の瞳を覗く。
「それについてのウサギの答えは、君がこの部屋にいる事を
選んだっていう事だと思ってたんだけど。…違うの?」とため息をついた。


確かに、
確かに私は先生が好きだけど、
お付き合いが出来るって思っていなかった。
そのうちベットに誘われて、寝たらおしまいって事だと思ってた。
それって、しばらくお付き合いをしてくれるって事だろうか?

「先生」と呼ぶと、
「ツカサって呼んで。」と横を向く。
「…ツカサさん。私はオトナの女の人じゃありません。」
「知ってる。」
「きっと、ツカサさんをイライラさせたり、
ヤキモチを妬いたりしちゃうと思うんです。
…それでも、お付き合いをしてもらえるんですか?」
と言うと、
「ヤキモチなら、もう、僕も妬いてる。
他の男と話していると、ものすごく気になる。
…ウサギのペースに合わせて付き合って、あげたいけど、
僕は所有欲が強い。
これからはきちんと恋人として一緒にいたい。
…前にも言ったと思うけど、僕はウサギの全部が欲しい。
僕の言っている意味わかる?」と瞳をそらさず言う。

…寝る前にお付き合いをするって事かな。
私は声を出せずにうなずく。


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