Bu-KIYOびんぼう ~幼なじみと不器用な約束~
まだ、心臓が…

ああ、びっくりした。

座り込んじゃいそう。


ダメだ。

またタケルくんに迷惑かけちゃうよ。


ハンカチを出して、タケルくんに近づいた。

相変わらず、窓の外を見下ろしていた。


目線の先に、矢倉くんがいた。

先生に腕を掴まれて「オイ!こっちを見ろ!!」と怒鳴られている。



なのに、

矢倉くんはこちらを見上げていた。



見てるっていうより、

「にらんでる…?」



タケルくんを見た。

「わざとなの?」


タケルくんは、ただ静かに矢倉くんを見下ろしている。

その頬に赤い切り傷が出来ていた。

私はハンカチを当てた。


「ありがとう」

タケルくんがハンカチに手をやった。
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